2021年9月26日メッセージ   「一緒に喜んでください」  ルカによる福音書15章1~10節

羊飼いの話も銀貨を失くした女性の話も、①大切なものを見失ったことに気づき、②必死に探し続け、③見つけ出します。そして④最も重要なのは、それを人々と一緒に喜ぼうとすることです。どちらの話にも、「友達や近所の人々を呼び集めて」と「一緒に喜んでください」と書かれています。「呼び集める」には「一緒に」という意味が含まれており、「一緒に」という言葉が重ねて強調されています。
取り戻した物より、見つけ出すまでの費やしたエネルギーのほうが大きいかもしれません。それでも、「この喜びを一緒に分かち合いたい!」という思いが勝るのです。苦しい生活をしている人々にとって、喜びや苦労を分かち合うことは「共感と連帯」のあかしであり、生きる励み、支えになっていたのでしょう。たとえ話は著者の編集によって霊的な話に置き換えられがちですが、イエス自身は、民衆に寄り添い、もっと身近で現実的なことがらを伝えていたのではないでしょうか。
ますます被造物が苦しむこの世界で、私たち教会は、どんな小さな命も放ってはおけないと、具体的に命に寄り添ったイエス自身のことばと生きざまに立ち帰ることから、ともに生きる福音宣教の業へと開かれ、押し出されていきたいと思います。失敗を恐れず、諦めないで、注意深く耳を澄まし、目を凝らして、大切なものを探し続けていくとき、神の前で、神と共に、人々と一緒に、真の福音の喜びと解放を分かち合える時が来ることを信じます。そこには、ジェンダー、年齢、民族、国籍、ルーツ、生い立ち、時には宗教さえ超えて多様な人々が、安心して集う場と、歓待の心がそなえられていることを祈ります。 〔米本裕見子〕 

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