2023年8月13日メッセージ「平和を作り出すために」マルコによる福音書12章28~34節

一人の律法学者がイエスさまに「律法の中で、どれが第一か」と質問をし、 イエスさまは、「神を愛すること」と「隣人を自分のように愛すること」が最も大切な掟であると答えます。

ヨハネによる福音書で、イエスさまが「あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る」(14:15)と言われたように、神を愛するとは、単に心の中で思うことではなく、神の言葉を実行することです。また、ヨハネの手紙一には、兄弟すなわち隣人を愛することが、神を愛することであると記されています。しかも、自分を愛するのと同じように隣人を愛しなさい、とイエスさまは言われます。ここで使われている愛するという言葉は、ギリシア語の「アガパオー」ですが、これは、歓迎する、もてなすという意味を含んでいます。お客様を歓迎する、もてなすとは、食べ物や寝る場所を分かち合い「相手を大切にする」だと思います。また「もてなす」で思い起こすのは、イエスさまが弟子たちの足を洗われた場面です。イエスさまは、弟子たちとの最後の食事の席で、弟子たちの足を洗われます。これは、通常召使の仕事なので、弟子たちはとても驚きますが、イエスさまは自ら召使のようになって弟子たちの足を洗うという、最高のもてなしを行うことで、「互いに愛し合う」模範を示され、「わたしがしたとおりに、あなたがたもするように」と言われたのです。

イエスさまの答えを聞いた律法学者は、「先生、おっしゃるとおりです。」と言い、それを聞いたイエスさまは「あなたは、神の国から遠くない」と言われました。神の国とは、神さまの正義と公平によって統治されている社会を意味しています。ヘブライ語にシャローム(平和)という言葉があります。シャロームは、単に戦争がないことを意味するのではなくて、神と人があるべき関係にあり、人も被造物も社会的にも精神的にも満たされた安らかな状態にあることを意味します。神の国とは、このような平和があることをいうのでしょう。わたしたちの社会を、本当の意味で平和な社会とする

ために、「隣人を自分のように愛し」ていくことができればと思います。〔細井留美〕

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