パウロたちから迫害の中にあるテサロニケ教会へ手紙が書かれます。苦難の中にあっても、ますます成長していくテサロニケの教会の人々の信仰と愛をみて、パウロたちもまた励まされ、福音宣教への思いが強められたでしょう。そして、テサロニケの教会の人々は、自分たちの苦難を理解してくれる人がいること、また自分たちの信仰を認めてくれる人がいることによって励まされ、迫害の苦痛が和らげられ、忍耐する力が与えられたことでしょう。
手紙は言います。いつもあなたがたのために祈っていると。激しい迫害にあっても、テサロニケの信仰者たちが、信仰から離れることがなく、主イエス・キリストを証し続けることができるように、またキリスト者にふさわしく歩むことができるように絶えず祈っていると励まします。
テサロニケの教会の人たちは、迫害の中で希望が見えなくなることがあったかもしれません。そのような時、外からの祈りと励ましとは、人々に希望と恵みを思い起こさせる役割をしたでしょう。何よりも、自分たちが祈れないほど苦しい時に、自分たちのために祈ってくれる存在があることは、とても大きな力になったと思います。
テサロニケの信徒への手紙二は、パウロが書いた手紙でない可能性が指摘されています。著者はパウロの権威を借りて書いたのかもしれませんが、そこにはパウロと同じく、苦難の中にある教会を励ましたいという思いで書いたと想像します。この手紙には、教会を思って書かれた祈りと励ましがあふれているからです。この手紙がパウロではない誰かによって書かれたことは、互いに祈り合うこと、励まし合うことが、パウロたちだけに留まらず、初代教会の中に受け継がれていったことを表していると思います。 〔牧師 細井 留美〕