クリスマスを迎えるこの時、私たちは喜びと同時に、忙しさや疲れ、不安や恐れを抱くことがあります。今日の聖書に登場するヨセフもまた、婚約者マリアが自分の知らないうちに身ごもったという現実を前に、深い混乱と恐れの中に置かれました。律法に従うべきか、マリアの命と尊厳を守るべきか、その狭間で悩み抜いたヨセフは、神の御心を真剣に求める「正しい人」でした。
そのようなヨセフに、神は天使を通して語りかけます。「恐れるな」。それは「恐れの中にあっても、神が共にいる」という約束に基づく励ましでした。天使は、生まれてくる子が救い主イエスであり、その名が「インマヌエル(神は我々と共におられる)」と呼ばれることを告げます。状況そのものは変わらなくても、神が共に歩んでくださることが、恐れに立ち向かう力となるのです。
ヨセフは不安を抱えたまま、神の言葉に信頼し、マリアを妻として迎え入れる決断をしました。信仰とは、恐れがなくなることではなく、恐れの中で神に身を委ね、一歩を踏み出すことです。イエス・キリストは、恐れのない世界ではなく、私たちの不安と混乱のただ中に来てくださいました。このクリスマス、「恐れるな、わたしはあなたと共にいる」という神の約束に支えられ、それぞれに与えられた一歩を歩み出していきたいと願います。 〔牧師 細井留美〕