2024年7月28日メッセージ「イエス・キリストと出会ったわたしたちは…」マルコによる福音書7章24~30節

 イエスは言われた。「まず、子どもたちに十分食べさせなければならない。子どもたちのパンを取って、子犬にやってはいけない。」なぜイエスはこのような冷たい言葉を発したのか。「子どもたち=イスラエル(ユダヤ)人・弟子たち」「パン=生きる糧、癒しの業・救い・祝福」「子犬=ユダヤ人以外の外国人・異邦人、娘(子ども)」と解釈されます。ユダヤ人であるイエス自身に、異邦人への偏見・差別がしみ込んでいたからか。ギリシャ・ローマの支配下にあったイスラエル・特にガリラヤの貧しい人々(ユダヤ人)が、暴力と搾取で苦しめられているのを見てきたから異邦人よりもユダヤ人に救いの手を差し伸べるべきとしたからか。
 だが女性は引き下がらず、「主よ、しかし、食卓の下の小犬も、子どものパンくずはいただきます」と言った。溢れだす神の愛は、イスラエル(ユダヤ人)だけに留まることはない―ユダヤ人にも異邦人にも等しく注がれる、と訴えているようです。この女性のことば(ロゴス)に心を打たれたイエス自身が民族主義的な思考から解放され、彼の中で方向転換が起きた。この女性の勇気と知恵とともに、異邦人女性の言葉に素直に反応するユダヤ人男性・イエスの、男性中心的価値観にとらわれない柔らかさに感動する。
 イエスが女性と出会い変えられたように、先入観を捨てて目の前の方との出会いを大切にしていけますように。何よりイエス・キリストに出会った私たちは、神の愛を分かち合い、すべてのいのちを慈しみ、平和を実現するものとなれますように。教会が、互いのいのちを喜び合う、穏やかな空間を作り出すレホボト(解放されたひろば・居場所)となってくことができますように。 〔協力牧師 米本 裕見子〕                                                   

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