イエスは誕生後にエジプトへの逃亡し、帰還してナザレに住みました。マタイ福音書はエジプトの辛い逃亡生活を、イスラエルの旧約聖書の預言の実現と見ています。
第一に、ヨセフは幼子とその母を連れて、エジプトへ逃亡しました。この話の背景は、旧約聖書の出エジプト記でモーセが王の幼児虐殺命令から生き残る話であり、ヘロデ王の幼児虐殺命令から逃げるイエスと重なります。ホセア11:1節「エジプトから彼を呼び出した」という預言が成就します。第二に、ヘロデは二歳以下の男の子を殺しました。この話は昔ファラオがヘブライ人の男の子を殺した話と重なります。エレミヤ書31:15に「ラケルは…泣き、慰めてもらおうともしない、子どもたちがもういないから」とあります。ラケルに対する神の慰めが告げられています。同31:17節に「あなたの未来には希望がある」とあります。第三に、23節に「彼はナザレの人と呼ばれる」という預言があります。可能性が高いのが、イザヤ書11:1節です。「その枝から一つの若枝が育ち」とあります。これはメシア預言ですが、「若枝」のヘブライ語が「ネーツェール」で、ギリシア語で「ナザレの人」となります。その場所で救い主が生まれるとは誰も思いませんでした。しかし、新しい希望がイエスから始まります。
私たちは聖書を読みながら、人々の交わりの中で神の心を見つけていきます。旧約聖書を読みつつ、それを超えたイエスさまの歩みを思い出したいと思います。〔魯 孝錬〕