2024年4月28日メッセージ「安心して行きなさい」マルコによる福音書5章25~34節

 イエスさまがヤイロの家に向かう途中、一人の女性が登場します。彼女は12年間も出血が止まらずに苦しんでいました。ユダヤ社会では、出血の有る者は不浄と考えられており、彼女は共同体から排除されていました。病の辛さや不安以上に、交わりに加われない精神的な苦痛が彼女を苦しめていました。その苦しみから、解放されたい、そう願い、彼女は多くの医者にかかりましたが、病気は悪化し、全財産を使い果たしてしまいました。彼女は、最後の望みを賭けて、イエスさまのところへやってきたのです。
 多くの群衆がイエスさまに迫る中、「この方の服にでも触れれば、いやしていただける」という信仰に基づき、彼女はイエスさまの服に触れました。すると、彼女はすぐに出血が全く止まって、病気が癒されたことを感じました。女性は自分に起こったことを知って恐ろしくなり、震えながら前に進み出ると、イエスさまの前にひれ伏し、ありのままに話しました。
 イエスさまは、目の前の女性に言われました。「娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もうその病気にかからず、元気に暮らしなさい。」この言葉は、どれだけ女性を励ましたでしょうか。イエスさまは彼女の行動を肯定し、「安心して行きなさい」と言われました。これには、「家に帰りなさい」という意味と同時に、「共同体に戻りなさい」という意味があると思います。病が癒されるのと同様に大切なのは、彼女が社会的な交わりに復帰することだからです。長年排除されていた彼女には、共同体に戻る不安や躊躇があったかもしれませんが、イエスさまは彼女の背中を押しました。さらに、イエスさまは「もうその病気にかからず、元気に暮らしなさい」と彼女に祝福の言葉をかけました。イエスさまは、彼女が再び自分の人生を歩み出すために必要な言葉(救いの宣言、派遣、祝福)をくださったのです。このことにより、彼女は安心して、また勇気を出して、新たな自分の人生を歩み出すことが可能になったのです。  〔牧師 細井留美〕                             

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