2024年6月9日メッセージ「多様な人が共に集う豊かさ」ローマの信徒への手紙1章16~17節

 東京北教会に、IJCSのミッションチームとして来ることができ、感謝します。また、東京北教会のみなさんが温かく郭、ジョジョ一家を迎えてくださっていることを感謝します。今回の参加メンバーは、IJCSの様子をよくあらわしています。日本とシンガポールが混じった構成メンバーです。シンガポールに住み、IJCSに仕えるようになり、あらためて聖書を読むと、聖書の世界も実に多文化共生であったことに気づかされます。
 旧約聖書の時代から、神さまの導きは国境や民族を超えていくものでした。アブラハム、モーセ、ルツ。旧約聖書には、多くの寄留者が活躍します。バビロン捕囚の時代には、イスラエルの民は外国の地、バビロンに連れていかれ、敵の国で寄留者としての生活を強いられました。主なる神は、イスラエルの民に、何度も、あなたがたもエジプトで寄留者であったのだから、あなたがたも寄留者を愛さなければならないと言っています。
 初代教会においても福音を伝える原動力となっていったのは、ディアスポラ(パレスチナ以外の外国で生活する)ユダヤ人たちでした。離散したユダヤ人から、さらに、ユダヤ人以外の異邦人へイエス・キリストがどのような方であるか伝えられていきました。ローマは当時の社会の中心でした。さまざまな国、地域の人が集まっている場所でした。そこにいち早く、イエス・キリストの福音は伝わっていました。ローマの教会も、いろいろな国、背景、民族の人たちが集っていたはずです。
 東京北教会は、多文化共生をめざす教会として、全国の教会の祈りにも覚えられて、歩みを進めています。東京北教会には、魯孝錬牧師が与えられ、長く導いてこられました。また、郭修岩宣教師、林ジョジョ宣教師一家が東京北教会にいることで、多文化共生教会がさらに身近に見えるかたちとなり始めていると思います。少々、閉塞的な傾向にある日本の教会が、聖霊の自由な風に動かされていく。その鍵となるのは、違いを持つ人たちが共に集う教会です。 ローマの教会をはじめとする初代教会は、聖霊の風に押し出され、イエス・キリストこそが、まことに生きる力を与える救い主であることを、力強く伝えていきました。民族も言葉も超えて、よい知らせを伝えていったのです。 東京北教会のこれからの歩みが、ますます力強く、この福音を国籍も人種も超えて、伝えていくことを願っています。           〔伊藤世里江(シンガポール国際日本語教会牧師)〕                                                       

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