イザヤ書の言葉は、バビロン捕囚という絶望の中にいたイスラエルの民に語られました。神は言われます。「恐れるな、わたしはあなたを贖う。あなたはわたしのもの。」この「贖う」とは、家族のように代価を払って買い戻すという意味です。神は私たちを他の誰でもない、ご自身のものとして呼び戻してくださる方です。そして、危機の時に、神は「わたしはあなたと共にいる」と約束してくださいます。人生の困難の中でも、神のまなざしは常に私たちに注がれています。
そして、祖国を失い、力も名誉もすべてを奪われた彼らに、神は「あなたは高価で尊い」と呼びかけらます。神の価値観は、世の基準とはまったく異なります。血筋や学歴、能力や外見ではなく、私たち一人ひとりの「存在そのもの」が尊いのです。私たちはしばしば自分の足りなさや弱さを見て心を閉ざしますが、神は飾らない「ありのままのわたし」を愛してくださいます。その愛に気づくとき、私たちは自分を責めるのではなく、神の視点で自分を受け入れる力を得ます。
そして、この価値は私たちだけのものではありません。すべての人が神によって創造され、同じように尊い存在です。だからこそ、私たちは自分を受け入れるように、他者をも受け入れ、共に生きる道を選びたいと思います。多様な文化や背景をもつ人々が共に歩むことは、神の愛と栄光を映し出すことにつながります。私たちは神の宝です。どんな時も「恐れるな、わたしはあなたと共にいる」と語られる神の言葉に励まされながら、神の愛を映す群れとして歩んでいきましょう。 〔牧師 細井留美〕