イエス・キリストの誕生は、戸惑いと不安の中で起きた出来事でした。「聖霊によって身ごもる」が何を意味するのかは、様々な解釈がありますが、婚約者の子どもでない子を身ごもるという出来事は、マリアにとってもヨセフにとっても大きな戸惑いであったと思います。
突然の出来事に、どうしたら良いのかが分からなくなり、悩むヨセフに、神さまは天使を通して、「恐れるな」と呼びかけられます。そして、大丈夫、マリアと一緒になりなさいと励まされたのです。そのように呼びかけられたヨセフは、出口のない悩みから解放され、目の前が明るく開けたのではないでしょうか。マリアと共に生きて行くことへと背中を押されたはずです。ヨセフは目覚めると、マリアを妻として迎えいれます。
救い主の誕生は、ヨセフとマリアの二人にとって、当初は大きな苦悩のもとでしたが、しかし、そのことによって神さまが共にいて、いつも支えていてくださることを実際に経験したのです。インマヌエル（神が我々と共におられる）を最初に経験したのは、ヨセフとマリアだったのです。
クリスマスに、私たちは、この「神さまがわたしたちと共にいる」という大きな恵みを確認します。たとえ目の前の試練が大きくても、悲しみや苦しみが深くても、神さまが共にいて、支えてくださっています。必ずそれを乗り越える方法を神さまが与えてくださるという希望を思い起こすことができればと思います。 〔細井留美〕