イエスさまがマグダラのマリアに現れた日の夕方、弟子たちは、自分たちもイエスさまと同じくひどい目に合うのではないかと、ユダヤ人を恐れて、家の戸に鍵をかけて閉じこもっていました。すると、そこにイエスさまが姿を現わし、真ん中に立つと「あなたがたに平和があるように」と言われました。「平和」という言葉は、引き渡される夜に、イエスさまが弟子たちに語られた「わたしは平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。・・・心を騒がせるな。おびえるな。『わたしは去っていくが、また、あなたがたのところへ戻っていく」という言葉を思い起こさせます。イエスさまは、恐れと不安の中にいる弟子たちを元気づけると、「父が私をお遣わしになったように、私もあなたがたを遣わす」と言われて、弟子たちに息を吹きかけ、聖霊を送ります。
イエスさまの顕現の場に居合わせなかったトマスは頑なにイエスさまの復活を信じようとしませんでした。8日の後、再び弟子たちの真ん中に現れたイエスさまはトマスにこう言われました。信じないものではなく、信じる者になりなさい」。信じることのできないトマスのために、イエスさまは再び顕現されたのです。イエスさまから信じる者になりなさい、と言われたトマスは「私の主、わたしの神よ」と告白しますが、イエスさまは「見ないのに信じる人は幸いである」と言われました。
弟子たちは、イエスさまが自分たちに現れてくださったことで、主が真に死から復活されたことを知りました。このことは、絶望と不安の中にいた弟子たちに希望を与え、鍵のかかった家の中から外へ出て歩み出す力を与えてくれたのです。 〔細井留美〕