2023年12月10日メッセージ「寄り添ってくださる神」ルカによる福音書1章26~38節

 エルサレムから見て周縁であるガリラヤの小さな村ナザレ、その村で暮らす年若い女マリアに天使が告げます。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたはみごもって男の子を産むが、その子をイエスと名づけなさい。」「恐れることはない」という言葉のあとに告げられたのは、恐るべき内容でした。婚約者ヨセフと結婚の儀式を終えていないマリアが妊娠したとすれば、彼女はヨセフ以外の男性と関係を持ったと見なされます。それは、彼女の家族にとって不名誉なだけでなく、死刑に値する罪でした。このようなことを告げられて、恐れないということはとても難しいことです。天使はマリアの不安に答えて言います。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。」どれぐらいの思い悩みの時を経たのかわかりませんが、マリアは「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように」と答えます。
「お言葉どおりにこの身になりますように」は、「アーメン(そうでありますように)」と同じです。 何がマリアに「アーメン」と言わせたのでしょうか? それは、「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む」という言葉だと思います。婚約者以外の子どもを妊娠するというハードな人生を歩むマリアに、神の霊が降り包んでくれる、つまり神さまが共にいてくださるという励ましの言葉が、マリアにその受け入れがたい出来事に対して、「アーメン」と言わしめたのではないでしょうか。
 マリアの物語は、神が苦悩・苦難の中にある私たちに寄り添ってくださること、そして、そのことによって、わたしたちには苦悩や苦難から立ち上がって生きる力が与えられていることを教えてくれています。このことに信頼して、「アーメン」と答える者となることを願い 〔牧師 細井留美〕

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