十戒は、神さまがイスラエルの人々をご自分の民とするにあたり、モーセを通して与えられた10の教えです。
神さまはイスラエルの人々に告げられますした。「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。」エジプトで強制労働を課せられていたイスラエルの人々の苦しみの叫びを聞かれた神さまが、人々をエジプトから救い出したのです。
そして、言われます。「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。」この戒めが、十戒の中でもっとも大切な戒めであり、私たちの信仰にとって、一番大切な戒めです。エジプトでは、ファラオが神に等しい存在として人々を支配していました。しかし、人が神になり、人を支配する時、その支配は神のように完全なものではないために、人が幸せになることは決してありません。それ故、神さまは「わたしをおいてほかに神があってはならない」と言われるのです。神以外のものを神にしても、そこに真の幸せはありません。十戒は、エジプトで奴隷として苦しめられていた人々が、人間らしく幸せになるために神さまが与えられた教えなのです。
戦前の日本においては、天皇が「現人神」(この世に人間の姿で現れた神)とされ、教会は十戒という神さまの教えを蔑ろにして、神の前に、あるいは神と並べて天皇を置き、戦争に協力しました。
日本のキリスト教会は戦前の反省に立って、神話をもとに制定された「紀元節」であった「建国記念の日」に反対し、2月11日を「信教の自由を守る日」としています。「信教の自由」を守ることは、私たちが「神のみを神とする」ために必要なことであり、わたしたちが人間らしく生きるために大切なことなのです。 〔牧師 細井 留美〕